1. Python について
Python(パイソン)は、ビッグデータの処理や人工知能、web アプリケーションの開発まで幅広く利用されているプログラミング言語です。
™/®Python Software Foundation - http://www.python.org/community/logos/, GPL, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=34991637による
2. 歴史
Python1991 年にグイド・ヴァン・ロッサムさんによって開発され、1994 年にバージョン 1、2000 年にバージョン 2、2008 年にバージョン 3 が公開されました。
現在、インターネット上で公開されている Python のプログラムにはバージョン 2.x で開発されたものとバージョン 3.x で開発されたものの 2 種類がありますが、バージョン 3.x と 2.x は互換性がない(仕様や機能が異なっている)ため、異なるバージョンの Python 上では動作しないことがあるので注意が必要です。
3. 特徴
Python は、C++(シー・プラス・プラス)や JavaScript (ジャバスクリプト) のように、英数字や記号をキーボードでタイピングしてプログラムするテキストプログラミング言語です。
プログラムの内容を順番に解釈しながら実行するインタープリタ型といわれる言語で、プログラムの作成(変更)と実行の繰り返しが素早くできるため、プログラミングに不慣れな方でもどんどん試せます。
また、次のような特徴もあります。
コードのの読みやすさと書きやすさ
Python はプログラムの構造(処理のまとまり)をインデント(字下げ)で表現するため、書いた人のクセが出にくく初学者には読みやすいです。
多くのプログラミング言語は { } を使って処理の塊を定義します。以下の 2 つのプログラムはどちらも同じ動作をしますが記述方法が異なっています。
// 書き方の例1
function func(a, b) {
return a + b;
}
// 書き方の例2
function func(a, b) { return a + b; }
これに対して、Python ではインデント(字下げ)で構造を表すため、誰が書いても以下のようになります。
def func(a, b):
return a + b
必ずインデント(字下げ)が用いられるため構造がわかりやすい、コードを書く人のクセが出にくいという特徴があります。
たくさんの作成済みプログラムを再利用できる
Python には多くのモジュールと呼ばれる再利用できるソフトウェアが公開されています。モジュールには、画像処理に関するもの、通信に関するもの、数学や統計に関するもの、人工知能(機械学習)に関するものなど多くのものがあり、すべてを自分でゼロから作るよりも高度なプログラムを比較的に手軽に作れます。
4. 利用方法
Python を利用するには、自分の PC に Python とモジュールをインストールする方法と、ネット上で公開されているプログラミング環境を利用する 2 通りのやり方のがあります。
4-1. 自分の PC にインストールして使う
Python 本体のインストール
Python のインストール手順については、Python 環境構築ガイドに詳しく記載されていますので、こちらをご覧ください。
モジュールのインストール
Python でのプログラミングには多くの場合でモジュールを利用します。もちろん、モジュールを使わずに「全部自分で作る」という選択肢もありますが、現実的ではありません。 自分が作りたいプログラムにあったモジュールを選択して’pip’というコマンドでインストールします。’pip’の使い方については公式のドキュメントを参照してください。
本体とモジュールを同時にインストールする
Python 本体とモジュールを一緒にインストールする方法として’Anaconda’があります。
‘Anaconda’とは Python 本体と科学計算用途のモジュール、モジュールのインストールを管理する’conda’というシステムがセットになったもので、’Anaconda’をインストールするだけで約 1,500 ものモジュールがインストールされます。
また、モジュールのインストールもコマンドライン(命令をキーボードで入力し実行する方法)で行なう’pip’に対して GUI(ウインドウをマウスで操作する方法)で操作する’conda’が使えますのでコマンドラインが苦手な方に向いています。
一方、1,500 ものモジュールを一度にインストールするため中には使わないモジュールも含まれることがあり、PC のディスク容量が無駄になるというデメリットもあります。
tkinter を使う
Python でゲームのようなグラフィック画面を使ったプログラムを作るための方法として、tkinter というツールがあります。tkinter は、Python をインストールした時に一緒にインストールされます。tkinter の公式ドキュメントはこちら。
tkinter — Tcl/Tk の Python インタフェース
日本語による tkinter の使い方については、以下の記事が参考になります。
インターネット上で多くの情報を見つけることができますので「python tkinter 使い方」などで検索してみてください。
4-2. クラウド上の環境を利用する
Google Colaboratory を使うと、自分で Python をインストールしなくてもブラウザだけですぐに Python プログラミングを始められます。
4-3. micro:bit を利用する
イギリス製の教育用シングルボードコンピュータ「micro:bit」のプログラミングツール「MakeCode for micro:bit」でも Python を使ったプログラミングができます。
MakeCode for micro:bit」にアクセスして、新しいプロジェクトを選択し、画面右上のメニュー(画像参照)から Python を選択してください。
micro:bitで動作する Python はMicroPythonと呼ばれるもので、機能的にも PC で動作するものに比べて機能は少ないですが、電子工作での利用に便利です。
5. 参考情報
公式ドキュメント
プログラミング言語は日本以外の国で開発されたものが多く、公式ドキュメントも英語で書かれたものが多いのが難点ですが、公式ドキュメントはもっとも更新が早く正確です。Google 翻訳などの翻訳サービスを使って、公式ドキュメントを活用しましょう。
- Python 公式(英語)
- Python 公式ドキュメント(英語)
- MicroPython
MicroPython とは pyboard と呼ばれる小さなコンピュータで動かすための Python 言語の一種です。
関連ドキュメント
こちらのドキュメント(web サイト)は公式のものではありません。最新の情報ではない可能性がありますので、ご注意ください。
コミュニティ・イベント
プログラミングに限らずですが、何かを始める上で一緒にやる仲間がいると相談や情報交換、モチベーションの維持がしやすくなります。 Python プログラミングをやっている方のコミュニティもたくさんありますので、参加されることをおすすめします。
- PyLadies
Python でのプログラミングが好き、関心がある女性向けの世界的なコミュニティです。サイトは英語です。 - PyLadies Tokyo
PyLadies の東京での活動です、こちらは日本語です。 - PyCon
Python の世界的なカンファレンスイベントです。世界中で活動している Python プログラマーがスピーカーとして登壇します。 - PyCon JP
こちらは PyCon の日本版です。 - Start Python Club
Python の勉強会を開催しているコミュニティです。 - Python データ分析勉強会
主な言語として Python を利用しているデータ分析に関する勉強会です。
書籍
6. よくあるご質問
Q. Python を使うと人工知能を作ることができますか?
Python は「人工知能で使われる言語」と言われうこともありますが、必ずしもそうではありません。現在公開されている人工知能のライブラリ(人工知能を作るために作られたプログラムの塊)には Python 以外で利用できるものもたくさんあります。
Q. Python プログラマーは年収が高いというのは本当ですか?
プログラミング言語によって年収が決まることはありません。Python でも Python 以外でも、世の中の役に立つものを作っているプログラマーは良い報酬を得ているかもしれませんね。
7. スタッフからのコメント
Python にはたくさんのライブラリが公開されていて、本当ならたくさんのプログラムを作らないと実現できないようなことが比較的手軽に実現できる言語のひとつであることは間違いありません。既に他の言語を経験されている方の中には、Python 特有のコーディング方法(プログラムの書き方のきまり)に戸惑うかもしれませんが、すぐになれるでしょう。
Google Colaboratoryを使えば Python を自分の PC にインストールする手間なく、すぐに始められるので、まずはここからスタートしてみるのもおすすめです。